外側ウェッジとは、踵や靴底の外側を高くすることで、足や下腿、膝にかかる力を変える方法です。
O脚や膝の痛みに対して外側ウェッジが使われることがありますが、足の状態を確認せずに使用すると、かえって足の動きを不安定にしてしまう場合があります。
特に注意したいのが回内足・過回内足です。
踵が内側へ倒れ込みやすい人が外側ウェッジを使用すると、踵の内側への倒れ込みをさらに強める方向に作用することがあります。
そのため、単に「O脚だから」「靴の踵の外側が減るから」という理由だけで外側ウェッジを選ぶのではなく、立っているときの足だけでなく、実際に歩いたときに足・踵・下腿・膝がどのように動いているのかを確認することが重要です。
この記事では、外側ウェッジの仕組みと、回内足・O脚・膝への影響について、足のバイオメカニクスから分かりやすく説明します。
外側ウェッジとは?
外側ウェッジとは、踵や足底の外側を内側より高くする調整です。
外側を高くすることで足部や下腿にかかる力を変化させることを目的としており、O脚や膝の痛みに対するインソール・足底板などに用いられることがあります。
しかし、人の足は地面に固定された単純な構造ではありません。
立ったり歩いたりすると、
踵 → 足部 → 下腿 → 膝 → 股関節
と連動して動きます。
そのため、外側ウェッジによって踵の位置を変化させれば、その影響は足だけでなく下腿や膝にも及びます。
特に、もともと踵が内側へ倒れ込みやすい過回内足では注意が必要です。

右足外側ウエッジ
なぜO脚や膝痛に外側ウェッジが使われるのか
O脚では、立ったときに膝が外側へ開き、下腿も外側へ傾いて見えることがあります。
そこで、踵の外側を高くする外側ウェッジを使用して、足元から下腿や膝にかかる力を変化させようという考え方があります。
このため、O脚や膝痛、変形性膝関節症などに対して、外側ウェッジを使用したインソールや足底板が用いられることがあります。
しかし、ここで重要なのは、
「膝だけを見るのではなく、その下にある足がどのように動いているかを見ること」
です。
人は立っているときも歩いているときも、足・踵・下腿・膝がそれぞれ独立して動いているわけではありません。
たとえば、もともと踵が内側へ倒れ込みやすい回内足・過回内足の場合、外側ウェッジによって踵の外側をさらに高くすると、踵の内側への倒れ込みを強める方向に作用することがあります。
つまり、
「O脚だから外側ウェッジ」
と単純に考えるのではなく、そのO脚がどのような足の動きと関係しているのかを確認することが大切です。

過回内
外側ウェッジで回内が強くなることがある理由
上の画像は右足の過回内足です。
ここで重要なのが、地面に足を着いた状態(クローズドチェーン)での踵骨と下腿の関係です。
クローズドチェーンでは踵骨は外反位にならない
足を地面から離した状態と、体重をかけて地面に立った状態では、足の動き方が異なります。
人が立っているクローズドチェーンでは、踵骨は外反位にはならず、最大でも垂直位までです。
そのため、距骨下関節の回内がさらに進もうとしても、踵骨が垂直位を越えて外反するのではありません。
そこで身体は、下腿骨を内反させることで代償します。
流れを整理すると、
距骨下関節が回内する
↓
踵骨が垂直位まで動く
↓
踵骨は垂直位を越えて外反できない
↓
下腿骨が内反して代償する
↓
O脚のようなアライメントになる
ということです。
したがって、外見上は「下腿が外側へ傾いているからO脚になっている」と見えても、その下腿骨の内反は、足部の過回内に対する代償として起きている可能性があります。
外側ウェッジを使用するとどうなる?
このような足に外側ウェッジを入れると、足部をさらに回内させる方向へ作用します。
しかし、クローズドチェーンでは踵骨は垂直位を越えて外反できません。
そのため、さらに増えた回内に対して、下腿骨の内反による代償が大きくなる可能性があります。
つまり、
過回内 → 下腿骨の内反による代償 → O脚
という関係がある人に対して、見た目のO脚だけを見て外側ウェッジを使用することには注意が必要です。
※O脚は過回内の代償との場合があります。

プロネーションコントロール
靴の踵の外側が減るのは異常?
「靴の踵の外側ばかり減るので、体重が外側にかかっているのでは?」
と心配される方は少なくありません。
しかし、靴の踵の外側が減ることだけで、足に異常があるとは判断できません。
通常の歩行では、踵から接地するときに踵のやや外側から地面に接触します。
そのため、靴を長期間使用していれば、踵の外側が内側より先に摩耗することは珍しくありません。
一方、踵の内側が強く摩耗している場合には、X脚など下肢のアライメントや歩き方の影響が関係していることがあります。
踵の外側が減る=外側に体重がかかっている、ではありません
ここが重要です。
靴底の外側が減っているのを見て、
「外側に体重がかかっているから、外側を高くして内側へ戻そう」
と考えるのは適切ではありません。
歩行では、踵の外側から接地したあと、足は衝撃を吸収するために回内していきます。
そのため、踵の外側が摩耗している人でも、その後の歩行過程では過回内している場合があります。
つまり、靴底の減り方は参考にはなりますが、靴底だけを見て足の機能や外側ウェッジの必要性を判断することはできません。
当院では外側ウェッジを使用しません
人の足は、単に体重を支えているだけではありません。
歩行中には、地面からの衝撃を吸収するときには柔らかくなり、身体を前へ押し出すときには硬く安定する必要があります。
この「柔らかくなる・硬くなる」という変化が、正常な歩行にとって重要な足の機能です。
過回内では足が硬くなるべきときに硬くなれない
過回内足では、本来なら足が硬く安定しなければならないタイミングでも回内が続き、柔らかく不安定な状態が残ってしまいます。
その状態で踵の外側を高くする外側ウェッジを使用すると、足部をさらに回内させる方向へ作用します。
前述したように、クローズドチェーンでは踵骨は外反位にはならず、最大でも垂直位までです。
それ以上の回内に対しては下腿骨が内反して代償するため、当院ではO脚や膝痛に対して外側ウェッジを使用していません。
膝だけでなく足の機能を改善する
大切なのは、O脚になっている下腿を外側ウェッジによって内側へ倒そうとすることではなく、
「なぜ下腿骨が内反しているのか」
を考えることです。
その背景に過回内があるのであれば、さらに回内させるのではなく、過剰な回内を抑え、歩行中に足が本来の機能を発揮できるようにすることを重視します。
そのため当院では、静止した状態だけではなく実際の歩行を確認し、足部の動き、距骨下関節、踵骨、下腿、膝までの連動を評価したうえで、靴やインソールを考えます。
まとめ|O脚や膝痛は足元から考えることが大切です
外側ウェッジは、踵の外側を高くすることで、O脚や膝にかかる力を変えようとする方法です。
しかし、O脚だからといって、単純に下腿を内側へ戻せばよいとは限りません。
当院では、O脚の背景に距骨下関節の過回内と、それに対する下腿骨の代償的な内反が関係している場合があると考えています。
特に重要なのが、地面に足を着いて体重を支えるクローズドチェーンでは、踵骨は外反位にはならず、最大でも垂直位までという点です。
そのため過回内がさらに進むと、下腿骨が内反することで代償し、O脚のようなアライメントにつながることがあります。
このような状態で踵の外側を高くする外側ウェッジを使用すると、足部の回内をさらに強めてしまいます。
そのため、当院では外側ウェッジを使用していません。
O脚や膝痛を見るときに大切なのは、膝の形だけを見ることではなく、
なぜO脚になっているのか?
歩行中に足はどのように動いているのか?
まで確認することです。
当院では、立った状態だけでなく実際の歩行を確認し、足部・踵・下腿・膝の連動を評価します。
そのうえで、過剰な回内を抑えて足本来の機能を発揮できるよう、靴の選び方や足の状態に合わせたインソールをご提案しています。
足のカウンセリング
O脚や膝痛がある場合、立った姿勢や靴底の減り方を見るだけでは、足の機能を十分に判断することはできません。
大切なのは、実際に歩いたときに足がどのように動いているかを確認することです。
当院のカウンセリングでは歩行を確認し、
- 距骨下関節の回内
- 踵の動き
- 下腿の傾き
- 膝との連動
- 足が柔らかくなるタイミングと、硬く安定するタイミング
などを総合的に評価します。
特にO脚や膝痛では、「膝が外側へ向いているから」という見た目だけで判断せず、なぜその状態になっているのかを足元から考えることが重要です。
歩行評価によって過回内などの足部機能の問題が確認された場合には、その状態に合わせて靴の選び方やインソールについてご提案します。
外側ウェッジで見た目の傾きを変えるのではなく、足本来の機能をできるだけ正常に働かせることを重視しています。
※カウンセリングは完全予約制の自費施療です。

歩行後から
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